TEQUILA CIRCUIT

“Tequila Circuit(テキーラ・サーキット)”という言葉は、70年代にウエスト・コースト・ロックの全盛時代を築いたイーグルス、ジャクソン・ブラウン、ジョン・デイヴィッド・サウザー、リンダ・ロンシュタットといったアーティスト達の、フレンド・コネクションの呼び名として事情通の間で知られている。あるときはライバルとしてお互いに刺激し合い、あるときは協力し合い、また良き飲み仲間として交流を深めた。

80年代、そういったアーティストに影響を受けた何人かの東京のミュージシャン達が、同じように道玄坂にあったライブ・スポット、Aspen Glowにたむろしていた。そのAspen Glowでのジャム・セッションをきっかけに、1987年頃より活動を開始したグループがこのTequila Circuitだ。

メンバーはSHIME、西海孝、奥沢明雄の3人。すでに彼らは原宿ホコ天、TV番組イカ天で名を馳せた伝説のロック・バンド、Unbelievable Wordのメンバーとして、都内のライブ・シーンでその存在は知られていた。Unbelievable Wordはオリジナル曲を中心に演奏する、ドラマー、ベーシストを加えたエレクトリック・ロック・バンドだったが、Tequila Circuitの方は、カバー中心のアコースティック・ユニットとしてスタート。前途のAspen Glow、Rocky Top(銀座)などで定期的な演奏活動を開始した。

Tequila Circuitは全員がアコースティック・ギターとボーカルを担当し、彼らの音楽ルーツであるアメリカのウエスト・コーストや南部のバンド、シンガー・ソングライターの作品を中心に、カントリー、ブルーグラス・ナンバーから、誰もがお馴染みのスタンダード・ナンバーまで幅広いレパートリーを聴かせる。

90年代の一時期、各メンバー個々の活動のため、Tequila Circuitとしての活動が事実上休止状態になっていたことがあったが、98年にファーストCD『Tequila Circuit』(LeamingtonDove Music LDM-0201)のリリースをきっかけに、精力的な活動を再開。さらに2000年には、2枚組のライブCD『Tequila Circuit Live』(LeamingtonDove Music LDM-0202)を発表。
フレンドリーな人柄もあいまって徐々に活動の場を広げ、現在では日本全国にファンを獲得している。

Members

西海 孝 ボーカル、アコースティック・ギター、バンジョー
西海孝は、鬼束ちひろ、太田裕美、遊佐未森、べティー・ブーカなどのバックで活躍してきている売れっ子スタジオ・ミュージシャン。現在メインで演奏する楽器はギターだが、5弦バンジョーのエキスパートであり、またマンドリン、ドブロ、ペダル・スティール・ギターなど様々な弦楽器を操るマルチ・ストリング・インストゥルメント・プレイヤー。Doビデオよりギター教則ビデオを多数リリースしている。今でも毎年夏におこなわれる箱根のイベント「夕日の滝ブルーグラス・フェスティバル」に参加。彼のルーツであるブルーグラスへの情熱も絶やさない。

奥沢明雄 ボーカル、アコースティック・ギター
奥沢明雄はカルメン・マキ&モーゼズのメンバーとしての活躍歴もあるベテラン。バックグラウンドは洋楽のフォーク、ロックに持つが、学生時代にブルーグラス・シーンで頭角を現した。SHIMEや西海孝とはブルーグラス繋がりと言える。一時期青井カンザブローのペンネームで音楽ライターとして執筆活動に勤しんだこともある。その後、南正人、金延幸子などのバックでも活躍。西海孝とはブルーグラス・ユニット、Mule Projectでも共演。

SHIME ボーカル、アコースティック・ギター
メイン・ボーカルのSHIMEは味わい深いハスキー・ボイスと確かな歌唱力を持つ実力派。ビートルズをきっかけに音楽への道を歩むことになる。シンガー・ソングライターとして、またケイコ・ウォーカーと組んだBroken Ashesなどいくつかのユニットでも活躍中で、BMGからソロ・アルバムをリリースした経験もある。ギター教室の先生として、またその素晴らしい声を生かしてTVコマーシャル等のMCなど、幅広く活躍。西海孝とは古くからの演奏仲間で、二人が在籍したブルーグラス・バンド、ブルーグラス・ワカダンナは伝説のバンドとなっている。